電気主任技術者(を置く、という)制度には、電気の安定供給や保安の確保という目的があるが、明治時代その制度発足に当たっては、電気技術者の地位の安定化というねらいもあったと言われる。当初、学識経験者としていた資格は、学歴要件などを経て現在、試験や認定という形式で誰にでも開かれている。とくに、学歴に関係なく受験でき、さらに、実務経験を必要としないこともあって、電験は電気技術者に最も信頼される資格であり、電験合格者は尊敬される存在であった。
電験は必然的に、個人の技量を競い、高める役割を増大させ、多くの不合格者を含めた電気技術者の努力によって定着した。最近では、電力関係は最先端技術という位置付けから、正常に動いて当たり前という社会基盤となっている。電気技術者の活躍の場が、弱電や情報分野にも広がり、電験が唯一無二のステータスという訳では無くなっているものの、本来限られた所でしか活かすことのできない資格(必置資格)であるにもかかわらず、電験合格を目指す者が近年でも毎年5万人程度ある。この数字は大学工学部全体の、近年の年間卒業生数に相当する。
試験のレベルは実務に比較して高めに設定されている。現場の一線で働く技術者が合格しないような試験では、通常ならば、試験の設定に問題があるということになりそうであるが、選任に当たっては試験以外にも、下位資格と経験などを考慮した資格の授与という配慮がある。
電気はオームの法則通りに動くと言われるものの、実際の選任では、試験合格だけの資格者が選ばれることは少ない。電気主任技術者になるには経験も積まなければならない。
■試験
財団法人電気技術者試験センターが全国で年1回実施。試験は誰でも受験可能。
・第一種、第二種
一次試験4科目(理論、電力、機械、法規)と二次試験2科目(電力・管理、機械・制御)がある。
・第三種
4科目(理論、電力、機械、法規)
■認定
・第一種、第二種電気主任技術者について
認定校を所定の資格を習得して卒業し、定められた年数以上実務経験を取得の上実務経験が認められた場合。
下級の電気主任技術者資格を取得し、定められた年数以上実務経験を取得の上実務経験が認められた場合。
・第三種電気主任技術者について
認定校を所定の資格を習得して卒業し、定められた年数以上の実務経験を取得の上実務経験が認められた場合。
■難易度
電験は難易度が高い割には、認知度はそれほど高くはない。
それは認定制度の存在が原因である。認定校を卒業して実務経験を積めば、勉強をしなくても認定で電気主任技術者になれる(認定の場合、電験とは言わない)。認定制度だけで第一種まで取得することも可能である。事業用電気工作物の設置者にとっては、認定によって電気主任技術者になった者の方が実務経験があるため使いやすい面もある。実際、試験だけで資格を取った人が電気主任技術者として選任されることは少ない。このような理由から、苦労して難しい試験を受けて電気主任技術者を取得する必要性が薄いのである。